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ゲームキューブを語る
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ゲームキューブが失敗に終わった原因と今後の改善点を探る


Suifu


 ニンテンドーゲームキューブ(以下GC)。
 ご存知の方も多いと思うが、
 世界中で大ヒットしたファミリーコンピュータ、
 通称「ファミコン」から続く、任天堂の家庭用ゲーム機である。
 PS2(ソニー)、Xbox(マイクロソフト)と共に
 「三大ハード」と呼ばれている。

 最近の任天堂といえば、
 とにかく【ゲームボーイ】【ニンテンドーDS】といった
 携帯ゲーム機がハードシェアを独占状態。

 ソニーから発売されたPSPも奮闘しているが、
 少なくとも国内においての携帯ゲーム機の牙城は
 そうそう崩せそうにない。


 しかし、だ。
 それとは裏腹に家庭用ゲーム機の方がパッとしない。
 国内においては何とかPS2に続くシェアは保っているものの、
 海外規模ではさらに微妙だ。

 後述するが、肝心のソフトのほうも
 近年は任天堂が発売元のソフトばかりで任天堂専用機状態である。
 ソフト発売リリースも1ヶ月2〜3本ペースとなってしまっている。

 そうなってしまった事態の原因はなんだったのか。
 まずは、ゲーム機そのものから検証していきたいと思う。


 ゲームキューブはコードネーム、
 つまり開発時の名称を「ドルフィン」といっていたそうだ。
 確かにコントローラはしなやかな曲線を描いている、ような気がする。

 また、内部構造も洒落ていて
 【Gekko】(月光・32ビットCPU)、
 【Flipper】(尾びれ・グラフィックコア)、
 【Splash】(水しぶき・24メガバイトのメインメモリ)
 と、ドルフィンにちなんだ名称がつけらている。


 外見はどうだろうか。
 正方形という形状は斬新であると思う。
 前機種のニンテンドウ64と比べて本体(ついでにコントローラも)は
 コンパクトになっているが、まず見た目から対象年齢を下げている。
 対象年齢が下がることが悪いこととは思わないが、
 ユーザー層が限られてしまうことは確か。

 その点、ニンテンドーDSやゲームボーイミクロ、
 そして次世代機のレボリューション(コードネーム)は
 低年齢対象ではなく、全年齢対象を意識して作られていることがわかる。

 このあたりは異論がありそうだが、付け加えておくと
 低年齢対象と全年齢対象は意味合いが違う。
 ゲームキューブは低年齢向けには見えても全年齢向けには見えない
 というのが私の意見だ。


 ニンテンドウ64同様、コントローラポートは4箇所ある。
 要は4人対戦が出来るということだが、
 これは比較的複数で遊ぶソフトの多い機種なので良いだろう。

 メモリーカードの容量は発売当初、
 少なすぎるものであった(59ブロック)。
 発売後しばらくして251ブロックのメモリーカードが発売されたが…。


 また、ゲームキューブの特徴として松下電器が開発した
 「8センチ光ディスク」という独自の媒体を用いている。
 ロード時間が他のディスクと比べて早く性能もさほど悪くないが、
 如何せん容量が小さいことが悔やまれる。
 この部分は他のDVDディスクと比べて一長一短といったところか。


 ゲームキューブのコントローラは触れたことがない人も、
 一度は目にしたことがあると思う。
 「よく考えられて作られている」という印象を受けた。

 ボタンの配置、例えば使用頻度の高いAボタンが大きく、
 L・Rボタンも押し込み式になっていて面白い。
 コントローラの形状も、先述のとおり持つ部分が
 曲線を描いていて持ちやすさ重視して作られている。

 だが、ヘンな言い方で恐縮だが
 「しっくりくるのに、しっくりこない」


 こうやって書くとわかりづらいかもしれないが、
 ゲームキューブのコントローラはPS2などのコントローラと
 十時キー、スティックが入れ替わっている位置になっている。

 つまり、ゲームキューブはスティック主体なのだ。
 十時キーはPS2のコントローラで言うところの
 スティックにあたる部分にあり、
 操作性も良くないのでかなり使いにくい。

 PS2などのコントローラは十時キー・スティックを
 使い分けて操作することが出来るが、
 ゲームキューブの場合、
 どうしてもスティック操作を強いられてしまう。
 スティック操作はアクションはともかく、
 細かい操作やRPGには向かない場合が多い。
 実際ゲームキューブには
 RPGやパズルなどのジャンルのソフトが少ない。

 さらにCスティックやZボタンなども使いづらい。
 特にZボタンはRボタンの上あたりにあり、
 押し込む必要があるので微妙。

 よく考えられて作られただけに、
 スタンダートな操作がしづらい一面も出てきてしまった。


 「ゲーム専用機」としてリリースされたゲームキューブ。
 とはいうものの、肝心のゲームソフトの数が少ない。

 ゲームキューブの開発コンセプトのひとつには、
 開発の敷居の低さがあげられる。

 というのも、ニンテンドウ64は
 ソフト開発が難しく費用もかかることでソフトが揃わない、
 すなわち他社から受け入れられなかった。
 その経験を踏まえて、
 ゲームキューブは開発者が制作しやすい環境を整える。
 そういった側面もあった。

 当然、それも大事なことだが、結果論ではあるものの
 根本的な解決には至らなかったのが事実である。


 さて、GCのソフトで最も売れたものは
 「大乱闘スマッシュブラザーズDX」(以下スマブラ)だ。

 スマブラとは、カービィの生みの親であり
 現在は有限会社ソラの桜井政博氏が手掛け、
 ニンテンドウ64で1作目が発売されて
 全世界で爆発的なヒットとなり、
 その続編も見事GC歴代1位(120万本以上)の
 売り上げを誇っている、いわば任天堂据置機においての
 キラータイトル
とよんで差し支えないだろう。

 そのキラータイトルとしての役割は、
 販売面から見ても十分に果たしたといえるだろう。

 しかし、実はGCにおいてミリオンタイトル
 (100万本以上販売したソフト)はスマブラDXのみである。

 販売本数の上位はマリオパーティ、ゼルダの伝説、
 ポケモン、ピクミン、そしてマリオサンシャイン…と、
 まさしく「任天堂の顔」が並んでいる。
 1〜50位までは、全体の8割以上が自社(任天堂)ソフトであり
 TOP10はすべて任天堂タイトル
 (1タイトルは「ポケモン」)という状況。
 まさしく、
任天堂専用機である。

 これはゲームボーイアドバンスなどでも、
 似たような構図になっているのが現状だ。

 だが販売本数面では10位の時点で50万本に届いていないなど、
 かなり厳しい結果が出ているのは明らかである。


 販売本数ランキングに目を通して
 ひとつ気になったのは「スーパーマリオ」の不調である。

 GCでは、2002年に
 「スーパーマリオサンシャイン」が発売されたが
 販売本数面では60万本程度。

 「スーパーマリオ」シリーズはキラータイトルでは
 なくなってしまったということであろうか?

 それは、一概には言えないことである。

 今回はローンチタイトル(ゲーム機と同時発売)でなかったこと、
 それからポンプを背負ったマリオが南国の島で冒険…というのに
 ユーザーがイマイチ惹かれなかったのかも知れない、
 というのが要因として考えられそうだ。

 とはいえ、「スーパーマリオ」自体に
 かつての勢いが感じられない
のも確かである。
 巻き返しに期待したいところだが・・・。


 今回のローンチタイトルはマリオではなかったと言ったが、
 同時発売は3タイトルであった。
 「ルイージマンション」
 「ウェーブレース」
 「スーパーモンキーボール」(セガ)
 である。

 ルイージマンションは決して売れなかったわけではないが、
 同時発売タイトルソフトとしてはやや弱かった。
 やはりローンチタイトルとしての大役は
 ルイージにはつとまらなかった
ようである。


 ローンチタイトルの少なさは64の頃からの
 いやな風潮であるが、さらに悪いのはその後である。
 ソフトが揃うのが遅すぎるのだ。

 9月にGCが発売されて、
 10月にピクミン、11月にスマブラDX、
 12月にどうぶつの森+。

 他社からは年末に5タイトル
 (しかもお世辞にも強力なタイトルとはいえない)ほどしか揃わず、
 年末年始を迎えてしまった事が痛い。

 そう考えると、
 やはりローンチタイトルの強化は必須条件ではないかと思う。

 Xbox360にも同じことが言えるわけで、
 しばらくの間ソフトを揃えるのは難しいわけであるから、
 なおさら同時発売タイトルを揃えるべきである。
 ニンテンドーDSもPSPも同時発売、
 もしくはソフトを一定のタイトル数そろえられた事が
 スタートダッシュにつながったのは間違いない。
 (PSPは肝心の本体台数が少なすぎたため数は
 伸ばせなかったが、同時発売タイトルは
 そこそこ売れたため、成功といってよいだろう)


 任天堂のゲーム機に供給される
 サードタイトルはどうにも弱さが目立つ。

 任天堂自社のタイトルが非常に低年齢層を
 中心に支持があり強力であるため、
 サードタイトルが霞んでしまうというのもあるとは思う。
 しかし、それにしてもサードタイトルが弱すぎる感は否めない。

 そんな中、2003年はGC商戦が
 最も盛り上がった時期であると思う。
 自社ソフトも「マリオカート ダブルダッシュ!」をはじめ、
 「カービィのエアライド」「ポケモンコロシアム」(ポケモン)など
 強力なタイトルが並び、他社からも「FFクリスタルクロニクル」
 「テイルズオブシンフォニア」など、
 今までと比べればタイトルが揃ったようにも思えた。

 大量のCMも投下され、この年は任天堂にとっても
 GC勝負の年であったのかもしれない。

 しかし、結果は芳しくなかった。
 2004年以降はサードパーティからのソフト供給も激減し、
 自社ソフトの売り上げも年を増すごとに数を落とし、
 2005年にはGC発売当初最大の目玉であったはずの
 「バイオハザード4」はおろか、自社タイトルですら
 20万本の壁を破る事がなかなかできなくなってしまった。


 GC不振の原因はひとつではない。
 いくつか推測が立てられても、
 この状況を打破する決定的な策がない
のも
 また事実である。

 次世代機「レボリューション」はコードネームの意味どおり、
 「革命」となるゲーム機を打ち出そうとしている。
 DSも性質的には革命を起こしたゲーム機と呼べそうだが、
 DSの成功は何もタッチパネル・2画面のおかげではない。

 レボリューションにはすでに発表されているだけでも、
 コントローラがリモコン型で、任天堂の過去の遺産が
 ダウンロードできる事などが挙げられる。

 だが、これだけでとても世界規模でシェアを
 握ることができるとは考えにくい。

 むしろ、PS3・Xbox360とはあまりに性能の差がありすぎることで
 他社からのソフトの供給数が激減する可能性さえ考えられる。

 次世代機でGCの失敗を生かせるのか。
 その鍵を握るのは、やはりDSの時のように
 本当の意味での「革命」が必要である。


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