.
レビュー:プレイステーション2 [PS2]
ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君 プレイステーション2(PS2)

「ドラクエ」という愛称で親しまれるこのシリーズは、
ゲームユーザーはおろかゲームに全く携わらない人でさえも
耳にした事ぐらいはあるのではないかと思う。
まさに
国民的RPGとよんで遜色はないだろう。

シリーズ初となるフル3Dに、
はじめは多くのユーザーが不安を抱いたのではないかと思う。
…にも関わらず、中身は「正真正銘のドラクエ」。


その理由は、お馴染みの制作陣(※)が携わっているのはもちろんのこと、
鳥山明氏のキャラクターデザインをそのままゲームに取り込んだような
見事なグラフィックも一因となっているに違いない。

開発を担当したのは技術力に定評のある
開発会社「レベルファイブ」が抜擢され、
PS2の性能をフルに引き出した見事なグラフィックを実現させている。

※ お馴染みの制作陣
堀井雄二(シナリオ)、鳥山明(キャラクターデザイン)、
すぎやまこういち(ゲーム音楽)は
シリーズを通して欠かせない存在となっている。


「見渡す限りの世界がある。」というキャッチフレーズのとおり
フィールドマップは今までのシリーズとは違い、
広さを感覚的に体験できる。

遠くに見える地平線、
上に広がる青空、
道から外れてもさまざまな発見がある。
あえて道を外れて探索するという楽しみもある。
これはシリーズ魅力とは一味違う部分ではあるが、
元来、堀井氏のやりたかったことなのかもしれない。


もともとドラクエはストーリーは
一直線ながらも自由度が広いのが特徴だ。
それは小さなメダル集めであったり、
モンスターを仲間にすることであったり、
(ストーリーそっちのけで)カジノに熱中することであったり。

ゲームをクリアするために直接支障のないこれらの要素は、
ユーザーに「自由」として委ねられたものである。

そして今作の場合には
「作りこまれた世界を探索する」
という楽しみが新たに追加されたわけだ。


戦闘も、
コマンド選択時は「いつものドラクエ戦闘」画面になっていて
コマンド選択終了後、3D戦闘に切り替わる。
攻撃時のアニメーションも作りこまれていて、
今までのシリーズには少し欠けていた爽快感も増している。

ただ、それでも随所の(わずかな)アニメーションが
戦闘のテンポを崩していると感じてしまうのは贅沢であろうか。


処理落ち等もほとんど見受けられず、
テンポ重視である事や膨大な容量等を考えれば
このグラフィックのクオリティにケチをつけるのは正直どうかと思う。

しかし、そのグラフィックが
ゲーム全体の雰囲気を明るくしすぎている印象があることは否めない。
イベント時の重い場面であっても、あまり重厚さが感じられない。

これは些細な事のように思われるかもしれないが、結構な問題である。
敵と対峙していても緊張感に欠け、淡々とシナリオが進んでしまっている。
その結果、ストーリーは随所に工夫されてはいるものの、
盛り上がりに欠ける印象をプレイヤーに与えてしまっている。


前作から導入された「はなす」コマンドは
「なかま」というコマンドに変更されているが、基本的には同じ。
「はなす」コマンドと比べて内容のバリエーションが少ないのは残念。

新たに追加された「テンションシステム」は
「ためればためるほど強くなる」というわかりやすいシステムだが、
実用性は正直そこまで高くない。

特に終盤はターンを無駄に消費してしまうという印象があり、
システムではなく特技の一つでも良かったのではないか。

「錬金釜システム」は目新しさがなく、新システムと豪語するなら、
例えば適当にアイテムを組み合わせても予期せぬアイテムが
生まれることがあるなど、もう一工夫欲しかった。

「スキルシステム」も同様で、
これでは職業システムの簡易版でしかない。


■総評

プレイヤーごとにゲームの印象が違うのは至極当然の事であり、
そのプレイヤーが多ければ多いほど印象も様々であろうが、
今作はシリーズと比べてみても
ストーリー性が薄いと感じられるのは明らか。

…しかし、これはあえてそうしたのではないかと思う。
なぜなら、今作はフル3D化という
シリーズの分岐点となりうるタイトルであったからだ。

ドラクエと双璧をなす
『ファイナルファンタジー』における分岐点は
プラットフォームをPSに移した7作目であった。

この場合も、ドラクエ8同様に前作から大幅な進化を遂げたが、
その成功があったからこそ、
今のFFシリーズがあるといっても過言ではないだろう。

ドラゴンクエスト8も、
おそらくはこれが第2の出発点として作られたのではないか。

だとすれば、ドラクエ初期の頃のモンスターが
多く出ていた事にも納得がいく。


次回作以降は、
今作をさらにブラッシュアップさせた作品である事に期待したい。


Suifu (2006)

■発売日:2004年11月27日 ■メーカー:スクウェア・エニックス
真・女神転生III NOCTURNE マニアクス プレイステーション2(PS2)

『真・女神転生III NOCTURNE(ノクターン)マニアクス』は
2003年2月20日に発売された
『真・女神転生III NOCTURNE』(オリジナル版)に
新シナリオの追加やバランス調整を施した
完全版ともいうべきタイトル。


まずはオリジナル版について少し触れておくことにする。

『真・女神転生』シリーズは
長年にわたって派生タイトルを数多く発売しているが、
正統進化版としては3作目、およそ10年ぶりの続編となる。

東京が新しく生まれ変わるための
「東京受胎」に巻き込まれた主人公たちは悪魔となり、
無秩序の世界「ボルテクス界」で生きていく様が描かれている。


『女神転生』シリーズの醍醐味は、
悪魔を交渉で「仲魔」とし、
さらに悪魔同士を合体することで
強力な悪魔を生み出す「悪魔合体」システムであり、
当然今作でも引き継がれている。

悪魔合体のシステム自体は複雑なものではなく、
むしろ今までのシリーズに比べて
シンプルにまとめてあるように感じた。

今までのシリーズと異なるのは、仲魔が主人公同様に
経験値によってレベルが上がってスキルを取得する。
中には異変をおこして進化するものもいる。


戦闘は非常に爽快。
といっても、アクションやエフェクトが派手であるとかではない。
「プレスターンバトル」という常に気が抜けないシステムを
搭載しているためだ。

このシステムは簡単に言えば、
≪敵のターン≫と≪味方のターン≫がはっきりと分かれており、
行動を全て終えると相手のターンになるというもので、
相手の弱点をついたりクリティカルヒットとなると行動回数が増える。

つまり、上手くそれを狙っていけば
相手の攻撃を受けずに戦闘を終わらせることも可能なわけだが、
逆に攻撃を外してしまったり攻撃が効かなかったりすると
こちらの行動回数が減ってしまう。
相手もそのシステムを利用して弱点をついてくるため気が抜けない。

難易度設定はあるがそれでも硬派な部類に入ると思われるので、
RPGが苦手な人は注意が必要だ。


特筆すべきは
読み込み速度の速さ。非常に快適である。
マニアクスはオリジナル版よりもさらに早くなっているとのことだ。


マニアクスで追加された内容は「魔人」の存在。
ボルテクス界の真実を知るという車椅子の老紳士に
「メノラー」の奪還を依頼された主人公が「アマラ深界」に潜入し、
本編では語られなかった数々の真実を目の当たりにする。

基本的にアマラ深界は本編とは別の追加ダンジョンだが、
魔人の一部は本編の途中で戦うこととなる。

またカプコンの「Devil May Cry」シリーズの
主人公であるダンテも特別出演。
他メーカーのキャラクターにもかかわらず、
ゲームの世界観にきちんと溶け込んでいるため違和感はない。


Suifu (2005)

■発売日:2004年1月29日 ■メーカー:アトラス
ドラゴンクエストV 天空の花嫁(PS2版) プレイステーション2(PS2)

『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』は,
ドラクエシリーズ初のSFC用ソフトとして1992年に発売された。
そして今回,シナリオ面・システム面ともに
大幅に改良されて復活を遂げたのである。

大まかなストーリー展開は主人公の少年時代,
そして青年時代,さらには次の世代へ・・・と,
まるで主人公の人生に沿っていくかのような形で
物語が進んでいくことになる。

ストーリーの進行はゆっくりと,しかし着実に進んでゆく。
時には衝撃的なシーンが唐突に起こり,
その後の展開を大きく左右する重要な選択に迫られることも多々ある。
総じて物語の完成度はかなり高いといえるだろう。


今作のシステムの主な特徴としては,
モンスターが仲間になることが挙げられる。
モンスターを仲間にする方法は
敵を倒すだけである。
仲間になるモンスターは一定確率で起きあがるので,
そこで仲間として迎えるか否かを選択,
迎えればその場ですぐさま仲間に加わるという
非常に単純明快なシステム。

ちなみに、
今作はSFC版よりも仲間になるモンスターの数は増えている。
(当然、モンスターの種類によって起きあがる確率は異なる)


モンスターの中には
成長レベルに限界があるもの
(レベル99まで上がらない)
攻撃の耐性・抵抗力がそれぞれ異なっていたり,
装備可能な道具に差があったりと,
モンスターの個性がしっかりと確立されているので,
自分だけのパーティを組むことに楽しさを見出すことが出来る。


SFC版から追加された要素としては
まず,グラフィックが全て3Dになったことが挙げられる。
PS版『ドラゴンクエストVII エデンの戦士達』の正統な進化版である。
視点を360°任意に変更できるのは良いが,
相変わらず見えにくい場所があるのは気になる。

なお,モンスターも3Dグラフィックに作り直されているが,
違和感はあまりない。モンスターの挙動も作り込まれており,
「会心の一撃」でとどめを刺されたときは,
吹っ飛んで消滅したりとなかなか芸も細かい。

ドラクエ7から導入された「はなす」コマンド
(パーティメンバーと会話をすることができる)も健在。
相変わらずメッセージ量は半端ないが,
なかまモンスターとの会話はうってかわって
バリエーションが乏しすぎる
のは寂しいモノがある。

さらに大きな変更点として,
3人パーティ制から4人パーティ制に変更されている。
当然,戦闘のバランスもすべて見直されて新たに調整されているが,
絶妙なバランスに仕上がっているのはさすがの一言である。


Suifu (2004)

■発売日:2004年3月25日 ■メーカー:スクウェア・エニックス
SSX3 プレイステーション2(PS2)

「SSX」(えす・えす・えっくす)は、
普通では考えられないほどの過激な急斜面のコースを
豪快に「トリック」を決めて滑降していくスノーボードゲームである。


■ゲーム紹介

グラフィックこそリアルに
雪の質感やキャラクターの挙動を再現しているが、
良い意味で「ゲームらしいゲーム」
そう表現するのが適切であるように思う。

トリックを上手く決めると
「アドレナリンゲージ」が溜まり、
「ターボ」といったスピードアップや
さらに複雑なトリックを決めることが出来る。


ライバルと争う「レース」をはじめ、
巨大なジャンプ台でトリックを競う
「ビッグエアー」や「ハーフパイプ」など
ゲームモードは多彩に用意されている。

キャラクターを成長させると、
さらにスピードやトリックの性能が向上して、
爽快感がアップするのが快感である。


ただ、初めて間もない頃は
やや複雑な操作を要求されることから、
あまり爽快感は得られないかもしれない。
そのもどかしさを乗り越えることができれば
楽しさを実感できるはずだが…。



ラジオのDJによるトーク
(日本語の吹き替えとなっているが、
違和感なく翻訳されているのが驚きである)
や、
「ファットボーイ・スリム」「ケミカル・ブラザーズ」といった
アーティストを起用したBGMなどが
SSXの世界観をより引き立てているのは言うまでもないことだ。

ゲーム開始までのロード時間はやや長めではあるが、
処理落ちはあまり感じられなかった。

全てのコースをクリアすると、
雪山を山頂から麓まで一気に滑り降りることもできる。


■総評

スノーボードを実際にやったことのない人、
もしくはスノーボードゲームに興味があるけど
未経験の人にも問題なくオススメできるタイトル。

先述したように、SSXは紛れもなく
『スノーボードを題材にした“ゲーム”』であるからだ。


Suifu (2004)

■発売日:2003年12月18日 ■メーカー:エレクトロニック・アーツ
イリスのアトリエ エターナルマナ プレイステーション2(PS2)

ガストが誇るアトリエシリーズ第六弾。
シリーズを通してお馴染みの錬金術による
調合システムを継承しながらも、ゲーム内容や世界観を一新し、
「錬金術RPG」として生まれ変わっている。


■ゲーム紹介

先述したとおり今作は従来のシリーズと違い
「RPG色」が強まっているのが特徴。
比較的オーソドックスなRPGに仕上がっているため、
初心者ユーザーでも楽しめる作りになってはいる。


今までのシリーズに登場した錬金術師と違うのは、
本作の主人公クレインは「マナ」と呼ばれる
精霊の力を借りて調合を行う点。

さらに、新たに店で調合を行う「ショップ調合」が登場。
従来のシリーズ同様、調合で作れるアイテムの種類、
そしてサブイベント数は膨大な数である。


しかし、今作では
調合はあくまで
ゲーム進行の補助的な役割
となっていて、
従来のシリーズのような酒場での依頼がなくなったのは、
やや残念である。

戦闘も、従来のシリーズと大きく変更され、
初期のFFシリーズを思わせるサイドビュー(2D戦闘)に変更。
しかし、戦闘での派手なアクションが増えたことにより
従来に比べてテンポがやや悪くなった。
また、エンカウント率が非常に高いのもいただけない。

BGMに関しては従来のアトリエシリーズ同様、
良い意味でアトリエシリーズらしい仕上がりになっている。

ダンジョンは狭いものが多く、
ラストダンジョンもラストダンジョンとは思えない狭さ。
その分、エンカウント率も高いわけだが・・・。

操作性にもやや難があるが、
マナの種類が増えるにつれて行ける箇所が増えていくのは面白い。


今までのアトリエシリーズと比べて、
若干シリアスな雰囲気でシナリオが展開されていく。

ストーリー進行(ミッション等も)を随時確認できたり、
チュートリアル(操作説明)が充実しているのは好印象である。


Suifu (2004)

■発売日:2004年5月27日 ■メーカー:ガスト


TOPページに戻る


inserted by FC2 system