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ポケットモンスターの軌跡
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ポケモンの誕生と経緯を振り返り、今後の展開を考える!


Nohm



  
 第一章. ポケモン誕生の余談

『ポケットモンスター赤・緑』は
GBA用ソフト『ファイアレッド・リーフグリーン』が
発売されたことで,再び呼び覚まされようとしている
ポケモンの原点とも言うべきソフトである。

いまでこそ2バージョン同時発売はありふれたものとなっているが,
ポケモンもはじめはこのような形で発売する予定ではなかった。

このようなことを考えるのは
アノ人しかいない!
そう,「マリオ」や「ゼルダ」などの生みの親として
有名な宮本茂氏である。それも,ちょっとした発言だったようだ。


それはそうと,
発売当時ポケモンは世間に全く知られていなかったわけであるから,
シリーズ化されたマリオなどと比べると当然期待はされていなかった。

読者は赤緑の初回出荷数はいくらだと予測するだろうか?
赤が12万本緑が11万5000本・・・と,
今では想像不能な数値である。

発売日,つまりポケモンの誕生日は1996年2月27日。
その日はとても静かであったそうである。


CMも私は今でも明白に覚えている。
あれだけはポケモンのCMの中で
あまりにも異色であったからである。

まずロビンちゃん(だったっけ?)と
呼ばれる女の子が通信ケーブルを振り回しながら
ベンチに座っているお年寄り3人に
「ねえ!ワタシのポケットモンスターと勝負しない?」と話しかけ,
⇒お年寄り「あんただ〜れ?」
⇒ロビンちゃん「イヤ〜ン!」

その後,テレビ画面の真ん中に
コダックが現れて鳴き声と同時に目が動く。
それから数匹のポケモンが写しだされるのである。

そして最後に
「赤を買うか,緑を買うか,ちょっと違うよ!」
という言葉で締めくくられる。

ゲームそのものが話題にならず,私の通っていた小学校では
コマーシャルのシチュエーションを真似することがはやった。
(※ちなみに、このCMはすぐに打ち切りとなってしまった。)

 

追記 : 2008年7月31日
youtubeにそれらしき動画があったので,掲載しておきます。(suifu)


さらなる余談ではあるが,
「ゲームボーイポケット」という
ゲームボーイの改良版が同時期に発売されたが,
この「ポケット」という言葉は
実はポケモンから取ったものなのである。


  
 第二章. 異色のRPG

そもそもRPGというジャンルは,
主人公やその仲間自身が装備をして戦う…というイメージが強い。
主人公ではなく,
捕まえたポケットモンスターを戦わせるスタンスは,
RPGというジャンルでありながらも
異色の部類であったであったといえよう。


しかし,こうも考えられる。
実際にRPGとは全て前者のような性質を持っているとすると,
極端な言い方をすれば、ポケモンの場合は
決められたキャラクターではなく,
好きなポケモンを主人公にすることができるのである。
プレイヤーは若干の自由を得ることができたわけだ。

さらに,RPGはシナリオをとりわけ重視する傾向が強いが,
ポケモンの場合ははっきりと目的が異なっている。

説明書に書かれている『プレイヤーの目的』の
第1項目は「完璧な図鑑を作れ!」である。
シナリオのクリアというのは
図鑑を完成させる上での通過点に過ぎないのだ。

プレイヤーは,シナリオをクリアしたときこそ
本当の冒険に出発する時なのだ。


  
 第三章. 通信の意義

「ポケモンの良さは通信交換により
ゲームの外の世界でもドラマが生まれる」

と原作者は言うが,全くその通りであると思う。

具体的には,珍しいポケモンを図鑑に載せてもらう代わりに
学校の当番の代行をしたり,珍しいポケモンとその人が頑張って
育てたポケモンを交換したりする事など挙げられるだろう。

また,交換の意義をより一層高めているのが ID と 親名 である。
ポケモンはゲームをスタートすると,5桁のIDNoが乱数で定められ,
そのソフトで捕まえたポケモン全てにそのIDが付着する。
IDは約65000通りになるので,
まず近辺には同じIDを持つソフトは生まれないだろう。

つまり,自分のソフトは
ほぼ唯一のものとなって
セーブデータの重みが感じられる。
これらは途中から変えることはできないので
何度交換されても持ち主は変わらない。

何かの縁で初めて会った人のソフトに自分のIDのポケモンがいた,
…なんてことも,もしかするとありうるかもしれない。
そして,そこからまた新たな外界でのドラマが生まれるのである。


  
 第四章. 都市伝説「ミュウ」

もうひとつ,
ポケモンには
とんでもない仕掛けが施されていた。
それは幻のポケモンの存在である。

今では有名になったが,
ゲーム中では絶対に手に入らない「ミュウ」というポケモンがいる。

ポケモンのプレイヤーの中には,このミュウは
あらかじめ設定されていたポケモンだと思っている人も多いだろうが,
ゲームが出荷された時点でこのポケモンの存在を知っているのは
ディレクター1人とそのポケモンを勝手に作ってソフトに仕込んだ
プログラマー1人,
計2人だけである。

いかにも信じ難い話だが,そのプログラマーは“遊び心”で
そのミュウをこっそりとソフトに入れたのである。
もちろんディレクターにだけは話をしておいたのであるが,
このポケモンは本来知られないまま,闇の中に葬られるはずだった。

しかし,「バグ」
(コンピュータープログラムにおいて
予想外のトラブルのこと)
によって発見されてしまったのである。
(※バグについては「ポケモンのバグについて」参照)


その後出荷されたソフトは,
ミュウが出なくなるよう更なる厳重なシールドを施されたので,

バグでミュウが出るソフトと出ないソフトが共存する状態となった。


「君のには出るのに僕のにはでない」
「こうすればでるらしい」など,
どうも“都市伝説”と重なる部分がある。


ポケモンとは少し話がそれるが,
そもそも「都市伝説」という言葉をご存知であろうか?

この言葉はポケモンの生み親である田尻氏も呼んでいる言葉であるが,
実際にゲームをやっている人は都市伝説という経験を
間違いなくしているはずである。

この場合での都市伝説というのは,
あるゲームにおいてほとんど不可能な条件を満たすことによって,
(実際にありそうもないけど)
もしかするとあるかもしれないようなことが起こる

という噂のことである。

本人の言葉を借りると,
それは確かめようがなくホントかウソかは関係ない。

実際はウソであるが,ウソであるならば
余計に本当になるまでやろうとする。
そして,それがまるで伝説のように
いろいろな人に広まっていくのである。

そのようなことが実際に,ゲーム仲間の間でなかっただろうか?
ゲームが既にほぼ皆が完璧に攻略されると,
そのような都市伝説は自然と攻略したものの耳に入ってくるのである。


ミュウの場合は少し,
いや,かなり特殊な例でミュウ自身存在はしていたけれども…
実際に存在しており,ミュウが結局手に入るようになったのだから,
都市伝説は思わぬ形で実現されたといってもいいかもしれない。


  
 第五章. ポケモンの生命性

ポケモンはゲームの中ではただのプログラムに過ぎないが,
視覚的には実際に生きているように見える。それはなぜか?
それはポケモンの生命性が重視されていることが原因と思われる。

全く同じ条件で,
レベルも種類も同じポケモンを捕まえても,能力は微妙に違う。
すばやいポケモンがいたり打たれ強いポケモンも,当然ながらいたりする。

特にシナリオを一緒に進めてきたポケモンや
手間隙かけてじっくり育てたポケモンは
カートリッジの中に生きていて,
本当のペットのように思えてしまうほどである。


  
 最終章. 原点を思い出してほしい

上の章でいくつかの事柄を挙げたが,
ポケモンがそこらのゲームと違う点は
ゲームそのものであるといってもいいと思う。

ポケモンは進化して姿かたちを変えていくが,
シリーズを重ねるにつれてゲーム自体も進化している。
そして,
原点である『赤・緑』の面影を失いつつある。

『ファイアレッド・リーフグリーン』で思い出すという手もあるが,
やはり本当の意味で原点に戻るということを考えると,
実際に『赤・緑』にふれることが一番である。

もし『赤・緑』を所持していて,
現段階で『ルビー・サファイア』や
『ファイアレッド・リーフグリーン』に
没頭している人は,1ヶ月…いや、半月でもいいから,
原点に戻ってみるのもいいかもしれない。

参考文献 :
『ポケモンストーリー』〔畠山けんじ・久保雅一/著〕(日経BP出版)     
『パックランドでつかまえて』〔田尻 智/著〕(エンターブレイン)
『ポケットの中の野生』〔中沢新一/著〕(新潮文庫)
関連ページ : GAME FREAK WEB PAGE (ゲームフリーク 公式サイト)


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